歯磨きチャレンジ

人間もそうですが、シニアになってくると犬も猫もみんな歯石や歯周病が増えていろいろお口のトラブルが出てきます。
口臭がきつくなるのはもちろん、歯石の沈着がひどくなると歯の根や 歯の周囲の顎の骨が溶けてきて 痛みや化膿、歯が抜けてしまうたいへんな状態になる子をよく見かけます。

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ここまで悪化すると麻酔下で歯石取りや抜歯するしかほかありません。
麻酔となると麻酔がかけることができる体力があるか検査してからでないとできません。

SNSなど見ていると無麻酔歯石が行われているところもあるようですが、日本小動物歯科研究会でもアメリカ獣医歯科学会でも、麻酔を使わない歯石取りは犬猫にとって恐怖と歯へのダメージを与えてしまうことになるので避けるよう推奨されています。

できるかぎりシニアになってもよい歯を維持するためには 人間と一緒で歯磨きがとても大事になってきます。

歯磨き慣れない子にとってはたいへんなことですが、毎日ちょっとずつでもいいので『口に触る』『歯に触る』からチャレンジしてみてぜひ歯磨きができるようにトレーニングしてみることをおすすめします。

そして水だけではなく、ぜひ歯磨き粉をつかってみてください。
犬猫は歯磨き後のうがいができませんので、うがいの必要ない犬猫用の歯磨き粉を選びましょう。今は味や香りが美味しいものもたくさん種類が出ているので、ぜひ好きな味の歯磨き粉を選んであげてください。

ちなみにうちは犬猫共用で歯磨き粉使ってます。歯ブラシはその子にあったサイズのものであれば小児用でもペット用でもいいと思ってますが、今はペット用でとても先端が小さい磨きやすそうな歯ブラシが各社から出ているので、ぜひいろいろ選んでみてください。

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磨くときは以前は飼い主側は素手でいいと思っていたのですが、まれに犬猫の口腔内にカプノサイトファーガという常在細菌がいて、人の手指の傷から侵入して壊死することが報告されています。できれば使い捨ての薄手のゴム手袋つけた方が安心かと思われます。
ちなみに獣医師会の仕事で以前、ペットとして飼育されている犬猫の口腔内カプノサイトファーガ検査したことあるのですが、20頭中1頭ほど検出されてきました。

飼い主さんが免疫の弱い方、手に傷をよく作る職業の方、手が荒れている方、糖尿病や自己免疫性疾患、抗がん剤治療中の方は特にお気をつけください。

このあいだ由利さんに柊の歯磨き写真&動画を撮っていただいたので 鼻ぺちゃ犬はこんな感じで歯磨きしてるよ画像載せときます(ちなみに素手で磨いてます)

↓ 前歯磨き (前歯は意外と歯石がついて歯が抜けるので必ず磨いた方がいいです)

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↓犬歯

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↓奥歯

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歯の外側の方が比較的磨きやすいので、まずは外側から磨けるようになって、とても慣れてきたら歯の内側も磨いてみましょう。

ちなみに『塗ると歯石が落ちる』歯磨き粉もSNSでよく宣伝されてますが、普通の歯磨き粉でも磨いてるうちに歯石がパリッと割れて落ちることは時々あるので、その子にあった歯磨き粉であればどれでもいいのかな?と思ってます。

最後の歯磨きの注意事項なのですが、すでの歯がかなり悪い子、どうしてもお口を触らせてくれない子は絶対に無理をしないようにしてください。
逆に定期的に歯石取りをした方が本人のストレスが少ない場合もあります。

よく麻酔を何回もかけると体が弱るのでは?と聞かれますが、麻酔がかけることのできる体力であればそれで体が弱ることはありません。
ちなみに古沢の実家の犬(飼い主の希望で)14歳まで、2年に一回定期的に歯石取りをしてました(15歳で認知症が出たためそれ以降はしてません)

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