「夢が叶った日」

今日はちょっとばかり長文を書かせてください。
理念の実現に向けて具体化した姿を「ビジョン」と言いますが、動物病院の経営に長年携わってきた私の目の前に、先日それが現実になって展開されました。

私には二十歳になる娘が一人いますが、妊娠して出産して、子育てしながら動物医療を行うことはとても難しいことでした。スタッフに若い女性を雇用することが多かったのですが、妊娠して出産して子育てする女性を長時間労働で休日もろくろく取れない動物医療の現場にとどめるのは至難の業で、産休前までなんとか勤務しても復職はできないのが業界の常識でした。
レントゲン撮影の保定や薬物の調合の補助をしたりすること、病院に来て攻撃的になっている犬や猫にかまれる危険はもちろん、けがをしたときに化膿止めの薬を本人に使うこともはばかられるし、そもそも立ち仕事で妊娠期に不正出血したりすると絶対安静、子どもができることと両立できない職場で社会のためになるのか?と葛藤の日々から、それを打破するためのチーム作りへの歩みが始まりました。獣医師としての自分が行動学の分野でカウンセリングで解決をはかるより、問題行動を予防するためのパピークラスを開催するにもある程度の同年代の子犬を集める必要があったことも、病院の拡大路線に入る原動力になったと思っています。
一歩一歩のあゆみでしたが、多くの方に学び支えられて、今日の当院があります。

先日は、サマーイベントの当院バーベキュー大会でした。

スタッフ数は28名ですが、全員の参加ではないものの、スタッフの希望者は配偶者や子どもも一緒に参加できるとして、大人と子どもとで30名以上いたでしょう。男性スタッフも女性スタッフも同じくらいいて、獣医師・動物看護師・トリマー・アシスタントスタッフ、職種の垣根なく入り混じって飲み食いしておしゃべりしています。今日もたくさんの患者様が来院されていてやりがいのある仕事と地域に必要とされている充実感と仕事の疲労感の合間の憩いの時を楽しんでいるようです。夫連れ、妻連れ、小さな赤ちゃん連れが3家族、小学生二人が他の新人スタッフと広場でバドミントンをして汗まみれで遊んでいます。もうすぐ子どもが生まれる妊婦さんのスタッフもいます。育児休業中のスタッフも赤ちゃんと一緒にきていて、久々に赤ちゃんが思いっきりギャン泣きしているのを見ました。それぞれの家族の子どもたちをみんなが自分の子どものように順番に抱っこしたりしてかわいがります。そうしてバーベキュー終盤になったころ、突然みんなが集まってきて、ハッピーバースデーを歌い始めました。ろうそくのついたケーキが二つ運ばれてきて、もうすぐ誕生日の私にサプライズでお祝いをしてくれたのです!

ハッピーバースデーは想定外でしたが、こんなビジョンを描いてきたものが目の前に現れてしまいました。少々お酒が入っていたのでそのときは半分夢のような気もしましたが、少し日がたって思い返してこうやって文章に残しておきたくなりました。

その日は数年前に旅立った父の命日でありました。
父からのプレゼントだったのかもしれません。

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